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拡大する韓国スマートフォンゲーム市場の現状と展望

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2012年7月にKAKAO TALKのゲームプラットフォームの開始と同時に2,000万を超えるユーザーを獲得したANIPANG(アニパン)の登場から早1年半。KAKAOにゲームを出せばヒットする時代はとうに過ぎ去り、優勝劣敗、悲喜交々、韓国のスマートフォンゲーム市場の競争は熾烈を極めている。元来、1兆円近い市場規模を抱えるオンラインゲーム大国であり、今後スマートフォンのゲームにおいても世界最大規模の市場を誇ると予測される韓国スマートフォンゲーム市場の現状と展望について簡単に纏めてみようと思う。

パズルゲームの"ANIPANG"、縦スクロール型のシューティングゲームの"DragonFlight"、同じく縦スクロール型のレーシングゲーム"みんなでチャチャチャ"などKAKAO GAMEではカジュアルゲームがヒット作の大半を占める傾向にある。ここ1年のヒット作を見ても、横スクロール型の"ウィンドランナー"や"クッキーラン"、縦スクロール型の"進撃1942"などKAKAO GAMEにおけるカジュアルゲームユーザーの比率は非常に高い。これはKAKAOのゲームプラットフォーム化に伴い、これまでゲームをしていなかった中年層や女性を多く新規ユーザーして引き込んだ結果であり、実際に某有名ゲームのメインユーザーは40歳代の男女とのことである。日本でmixiのオープン化をきっかけに新たなゲームユーザーが増えた事象と同様に、国民的メッセンジャーであるKAKAO TALKがゲームプラットフォーム化したことで、全体としてゲームユーザーの裾野が広がったのである。

また、2013年下半期から目立ったのが、前述したカジュアルゲームからミッドコアゲームへの流れである。

カジュアルゲームで多くのヒット作を持つCJ E&Mがリアルタイム対戦を導入した "みんなのマーブル"

RPGゲームの"モンスターを飼いならす"

などミッドコア分野のゲームをリリースし、KAKAO GAMEを新たなフェーズに押し上げた。今後、ミッドコアゲームへの流れは一層加速すると思われ、各社がMORPGMMORPGのタイトルを続々リリースする事が予測される。私自身も日々、複数のゲーム会社と面談しているが、どの企業もミッドコア寄りのゲームを開発しており、今後オンラインゲームのユーザーがスマートフォンゲームユーザーへと移行していくことだろう。

特に韓国市場では、オンラインゲーム会社が引き続きスマートフォンゲーム市場も主導している現状で、オンラインゲームの開発者がこぞってスマートフォンゲーム開発に移行しており、オンラインゲームとスマートフォンゲームの間の連続性が強い。日本ではコンソールゲームユーザーとソーシャルゲームユーザーが全く別物でユーザー間の連続性が強くないのとは逆で、供給者側が強く連続性を持っており、この点は日本市場と異なる点のひとつである。

更にミッドコア系のゲームは高いARPUが見込めると同時に中国をはじめとした海外市場にも需要が見込め、当初より海外展開を視野に入れる企業が増えて行くだろう。実際、中国や日本のゲーム会社の韓国ゲームの発掘ニーズは以前に比して増しており、スマートフォンゲーム市場において韓国産のゲームはより注目されていく筈である(実際にHello Heroのように日本市場でランキング入りするタイトルが出て来ている)。

またゲーム市場を語る上で、欠かせないのがプラットフォームに関する議論である。

KAKAO GAMEがゲームプラットフォームとしての地位を盤石にして行くに連れて、ゲーム会社間で問題視され始めたのが手数料率の問題だ。KAKAOにリリースしないと集客がままならないが、ヒットする可能性はゲーム数の増大と共に低下し、ヒットしたとしてもGoogleKAKAOに二重で手数料を支払うという構造的な問題である。一時期は大手ゲーム会社のKAKAO離れも頻繁に議論され、某大手ゲーム企業に関しては独自のプラットフォームを作るという話も出ていたが、一部メディアで報道された、KAKAOによるTstore(韓国最大の携帯キャリアであるSKテレコム子会社が運営するアプリマーケット。KAKAO GAMEの開始以前は韓国最大規模のアプリマーケットだった)の買収が実現するのであれば、前述の手数料問題は収束する方向に向かうのではないかと思う。既にGoogle PLAY経由で利用されているアプリをTstore経由に上手く移行させる事が出来るのか?という議論は残るが。

またゲーム市場は政府が主導して振興すべきビジネス分野に指定されながら、"ゲーム中毒法"というゲーム業界を規制する法案の制定も議論されており、政府主導の産業振興を進める韓国のメリット、デメリット双方が顕在化している。

何れにせよ世界有数のスマートフォン大国である韓国はスマートフォンゲームの最大産地のひとつであり、消費地でもある。アメリカ、日本、中国と並び今後もスマートフォンゲーム市場を構成する一国として今後も定期的に市場トレンドを発信していきたい。

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この記事の著者

海老原 秀幸
株式会社サイバーエージェント・ベンチャーズ
ソウルオフィス代表

マーケティングコンサルティング会社を経て、2005年6月よりサイバーエージェント・ベンチャーズへ入社。投資先企業に出向し、常勤のボードメンバーとして戦略立案からオペレーション改善等のハンズオン業務に携わり、上場企業へのバイアウトを経験。その後、日本国内にて10数社の投資及び投資先のインキュベーション活動を経験し、2012年10月よりソウル事務所に駐在。同事務所の代表として韓国企業への投資活動及び経営・グローバル展開の支援業務に携わっている。