HOME>なぜ今、各国の投資家たちはタイに注目しているのか。

なぜ今、各国の投資家たちはタイに注目しているのか。

技術系新興企業のシーンに注目すると、
ここ数年において南アジアがますます資金力を付けて、
急速に成長しつつあることは誰の目にも明らかである。
これはアジアの大陸の内外両方の投資家達にとって良い前兆と言えるだろう。
興味深いことに、南アジアで最も注目を浴びている国のうちの一つにタイがある。
タイは、AEC(ASEAN経済共同体)においてGDPでは2位、
一人当たりの平均GDPは3位となっている。
ここでは、タイのような小さな国のIT関連事業が、
何故ベンチャーキャピタリストにとって魅力的となったのかに注目してみたい。

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・Thailand GDP(USD bn)= タイのGDP(米国ドル・単位は10億)
・Thailand GDP Growth Rate = タイのGDP成長率
経済をマクロの視点で見たとき、6800万人が住む国であるタイは、
様々な面で技術系新興企業にとって魅力的な場所と言える。
微笑みの国とも言われるタイにはおよそ3800万人のアクティブネットユーザーが居り、
インターネット普及率は56%であるとされている。
モバイルデバイスの普及率も高く、その普及率は147%である。
こうした数値から考えるに、タイはスマートフォン市場が特に強い国であると言える。
2015年が終わるまでには、
同国のスマートフォンユーザーは3600万~4000万になると見積もられている。


このような急激な普及率を踏まえると、
モバイルコンテンツやアプリケーションの利用が急激に増大することだろう。
タイの人々が平均して1日に4時間もスマートフォン上で、
LINEやFacebook、YouTube、Facebook Messenger、Google Mapsを
操作していることを考えれば、この点は間違いない。
これらのアプリケーションは、月ごとの利用に基づいて
最も用いられているスマートフォンアプリでもある。
また別のデータでは、
タイからのモバイルデバイスを通じたYouTubeへのトラフィックは過去2年で
6倍以上になっているのである。
加えてモバイルデバイスによるウェブページ閲覧の"シェア"率は既に50%となっており、
年々30%ずつ増加している。
これは明らかに、タイに"モバイルインターネット"の時代が到来したことを
示唆していると言えるだろう。


タイの人々は、ネットが繋がる前から面白いことが好きであったし、
楽しいことを共有してきた。
彼らの文化は"えり好みが激しい"とも言える。
そうした文化において、オンラインでのユーザー同士のやり取りというのは
特に中毒性があるものだ。
ソーシャルメディアを通して、あらゆるものをシェアすることが
できるようになるからである。
信じがたいことのように思えるかも知れないが、
何年もの間、タイの首都であるバンコクはFacebookのユーザー数において
世界一の都市(2000万ユーザー)として広く知られている。
しかし、タイ全体で見ると、Facebookユーザーの数は3500万人で、
世界3位に止まっている。
タイが社会的な繋がりを極端に求めるような国であるということを示している事例として、
Facebookの登録数だけでは足りないかもしれない。
もう少し掘り下げてみると、
2014年だけで、タイの人々は49億5500万以上の写真をアップロードしており、
タイではそうしたSNSへの写真のアップロードが大流行した。
更に言えば、スワンプーム国際空港やサイアム・パラゴンといった有名ショッピングモールは
Instagramで最もタグ付けされたロケーショントップ10に入った。
これがタイという小さな、中国の20分の1の小ささという国で起こったのである。


また、世界で最も成功を収めたチャットアプリのうちの1つであるLINEが
中核的な市場としてタイを見定めているのにも理由がある。
日本の外にありながら、タイには3400万人のLINEユーザーがおり、
世界で2番目に強い市場となっている。
また、タイにおけるLINEについてより深く見てみると、
タイで最もダウンロード数が多いスマートフォンのアプリは、
"Let's Get Rich"というLINEのゲームであることが分かる。
また、総合閲覧数に基づいて動画ストリーミングサービスで
2番目に利用されているものを見てみると、LINE TVであることが分かるのである。
コンテンツを厳選し独占配信することで、
LINE TVで最も人気の番組、"Hormone 3 the Final Season"(タイのテレビシリーズ)は
わずか6週間で1億8000万の閲覧数をたたき出した。
ソーシャルメディアの利用に関するこうした数値以外にも、
技術系新興企業にとってタイが魅力的な場所であることを示す根拠がある。
電子取引市場の急増の可能性だ。
予測としては、2015年には米国ドルの50億ドルを超えるとされている。
この数字は、ソーシャル・コマース市場の数を考慮すれば更に高くもなるだろう。
タイには、SNS利用ユーザーの動きとして特にユニークな面があるのだ。
彼らは、FacebookやLINE、Instagramのショップを利用するのが好きなのである。
ファッションや衣料品といった幾つかのカテゴリーにおいては、
こうしたソーシャル・コマースのプールは全体の市場価値の70%になる。
1つ例を挙げれば、服を販売している特に閲覧数の多いFacebookページは、
1年で年間売上300万米国ドルを達成した。


タイは技術的には発展国のそれに急速に追いつきつつあるが、
市場それ自体を見てみると、概して未経験の部分が多い。
それが電子取引の支払い方法として代金引換が未だに現役で、
幾つかの人気ウェブサイトで行われている全体の取引の2/3が
そうした支払い方法を行っている理由なのだ。
モバイルインターネットバンキングの登場により、
銀行振替もまた、C2Cビジネスにおいては魅力的な選択肢として残り続けている。


東南アジアの国々において、
オンラインでの支払いの際のクレジットカード利用率の成長を妨げている
主な要因が信用の問題であるということはよく言われていることだ。
そうは言っても、タイでのクレジットカードの取引は、
第一印象とは異なり実際には非常に安全である。
VISAによれば、クレジットカードのタイでの安全性はシンガポールのそれと
同レベルであるという。

これと同時に、トップのウェブサイトでは、
オンラインでの取引決済にクレジットカードが用いられるケースが

著しく増えていると報告されている。
およそ2000万のクレジットカードが出回っている国にとって、

これは吉報と言えるだろう。


投資の面から見ると、完全に健全とは言えないまでも、
タイが東南アジアにおいて技術系新興企業の生態系を有していることは間違いない。
これを裏付ける証拠として以下のようなデータがある。
2011年以来、タイに拠点を置くスタートアップ企業は
合計でベンチャーキャピタリストやエンジェルインベスターから
およそ1億ドルもの資金を獲得しているのだ。
現在、タイは少なくとも57のベンチャーキャピタリストや企業、
そしてテクノロジースタートアップ企業にアクティブに投資している
31のエンジェルインベスターを保有しているとされる。
(ただ、彼らのうちの大多数は現在タイに居住しているわけではないことは述べておく)
テクノロジーに詳しい投資家だけがこの小さな国に興奮を隠しきれないわけではない。
企業側もまた、テクノロジースタートアップ企業がこの国にもたらし得る、
ある種破壊ですらあるその潜在力に気付いているのだ。
当然と言えば当然だが、サイアムコマーシャル銀行(タイで最も大きな商業銀行)は
こうした状況に更に力を入れ、

フィンテックだけで5000万米国ドルの資金を献金することを公表した。


まとめると、期待値の高そうな投資先として考えると、
タイは国の大きさは小さいが技術志向の投資家たちが求めるような全ての資質を持っているということである。
2014年のクーデターや2015年の爆発事件もあって経済は既存のレールを外れたが、
タイはまだ高レベルのインフラ発展を有しており、それによりテクノロジーやIT関連のスタートアップ企業の成長が
促進される可能性は充分にあり得ると言えるのである。
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